第九回 水素風呂と爆発の危険性
「水素爆発」という言葉から水素風呂も使用方法によっては爆発が起きるのではないかと考える方もいるかと思います。
水素風呂の良い所は、お風呂で発生させた水素を浴室に充満させ、呼気や皮膚からも取り入れる事ができるというところです。
しかしだからこそ、この水素が充満しきった浴室になんらかの条件が重なれば爆発するのではないか?と考える方もいます。
先に結論から言うと、普通に水素風呂をしただけでは爆発は起きません。
なぜなら水素爆発が起こるには特定の条件が重なったときのみに発生するからです。
その条件とは2つあります。
条件①
水素は空気に4%~75%混ざったときにだけ燃える気体になる。なので4%以下では発火しません。
また水素は拡散性が高いため、開放した空間で濃度4%以上になる事はほぼありえません。
では、この水素4%はどのくらいなのか?検証してみました。
水素水ランキングでいろいろな商品を調べた結果、今現在最高峰の水素濃度を誇る7.0ppmの水素水商品がありました。
ppm(パーツ・パー・ミリオン)は、100万分のいくらであるかという割合を示す数値なので7.0ppmは7/100万が濃度ということで4%には遠く及びません。
この数字からみても換気された浴室で使用しただけでは水素を4%以上にする事は不可能といえます。
条件②
この水素4%以上の状態で、温度が527度(発火点)になれば発火する。
この2つの条件が重ならければ、自然に着火、爆発する事はありません。
世間で「水素爆発」と言われている現象は実は、その原因は水素自体が原因ではありません。
ここで一例をあげます。
東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所の事故を覚えていますか?
原発の爆発は水素爆発でした。
しかし名は水素爆発ですが、福島第一原子力発電所の水素爆発の原因は、水素ではなく放射性物質なのです。
福島第一原子力発電所の事故では、水素爆発(とされている爆発)によって建屋が吹き飛びました。
そうなった原因は、人体に有害な放射性物質を外部に逃がさない設計のため、水素が拡散せず建屋内にたまってしまったからです。
通常の水素利用設備では、万が一水素がタンクなどから漏れ出しても、上昇・拡散して逃げようとする水素を上部の通気口から逃がすことで、4%〜75%の濃度と着火エネルギーの付加という2つの条件が重なることを回避できるようになっています。
しかし原子力発電所は基本的に、人体に有害な放射性物質を扱っているので内部の気体を逃がさない設計です。
水素爆発(とされている爆発)の原因は、水素の性質ではなく、原子力発電所内部で水素が発生するリスクを無視した設計と、そもそも、内部に放射性物質があるため、密閉した設計にせざるを得ない、原子力発電所そのものにあったのです。
現状、水素風呂で爆発事故が発生していないという現実を見ても水素風呂をしたからといって爆発するんじゃないかという心配は払拭されたかと思います。
なので安心して水素風呂をお楽しみ頂けます。
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